階段計算 — 蹴上げ・踏面・段数と側桁の長さ
階高から蹴上げの数と寸法、踏面、水平投影長さ、側桁の長さ、角度を出し、米国の IBC と IRC で判定します。日本の施行令第23条の寸法は表で示します。
床から床までの高さを入れてください。たいていの計算機は蹴上げの寸法を出して終わりますが、ここではその蹴上げがどの規準で通るかまで見ます。IBC と IRC で値が違うからです。ただし判定に使う上限と下限はアメリカの規準です。日本の階段寸法は建築基準法施行令第23条が定め、その表はこのページに載せていますが、判定には使っていません。このページで分かるのは階段の幾何であり、法適合の判断ではありません。
早見表:建築基準法施行令第23条の階段寸法(単位 cm)
| 階段の種別 | 幅 | 蹴上げ | 踏面 |
|---|---|---|---|
| 住宅の階段(共同住宅の共用階段を除く) · 第23条第1項ただし書 | 表による | 23 以下 | 15 以上 |
| (四)(一)〜(三)以外の階段 | 75 以上 | 22 以下 | 21 以上 |
| (三)直上階の居室 200 m² 超の地上階、居室 100 m² 超の地階など | 120 以上 | 20 以下 | 24 以上 |
| (二)中学校・高校の生徒用、物販 1,500 m² 超の店舗・劇場・集会場などの客用 | 140 以上 | 18 以下 | 26 以上 |
| (一)小学校の児童用 | 140 以上 | 16 以下 | 26 以上 |
回り階段の踏面は狭い方の端から 30 cm の位置で測ります(第23条第2項)。高さ 50 cm 以下の手すり等は幅 10 cm までないものとみなします(同第3項)。このページの計算機の判定はアメリカの規準で、この表の値では判定していません。
| 蹴上げの数 (段数) | — |
|---|---|
| 蹴上げ | — |
| 踏面の数 | — |
| 水平投影長さ | — |
| 側桁の長さ | — |
| 水平からの角度 | — |
| 2R + T (歩きやすさの目安) | — |
二つの上限は同じ条に書いてあります。IBC 1011.5.2 は蹴上げを7インチ以下、踏面を11インチ以上とします。同じ条の例外3が7-3/4インチと10インチまで緩めますが、使えるのは Group R-3、Group R-2 の住戸の中、そのどちらかに付属する Group U だけで、しかも踏面が11インチ未満で蹴込み板のある段には3/4インチ以上の段鼻の出が要ります。決めるのは用途で、好みではありません。住戸の中の階段は例外3に入り、同じ建物の共用階段は入りません。そちらは Group R-2 の避難経路なので7インチと11インチです。どちらの値もアメリカの規準で、日本の建物には日本の法令が適用されます。その値はこのページの表にあります。
効いてくるのは蹴上げではなく水平投影長さです。床から床まで108インチのとき、7インチと11インチでは蹴上げ16、踏面15になります。踏面を最小で取って水平投影長さは165インチ。7-3/4インチと10インチなら同じ高さが蹴上げ14、踏面13で収まり、130インチです。差は35インチの床で、そのうえ段鼻を結んだ線から80インチの有効高さ(頭上クリアランス)を取るために開口も長くなります (IBC 1011.3)。開口の枠を組む前に、どの規準で判定されるかを決めてください。
段差のばらつきは下地ではなく仕上げで出ます。IBC 1011.5.4 と IRC R311.7.5.1 は、一つの階段の中で一番高い蹴上げと一番低い蹴上げの差を3/8インチまでとしています。IRC R311.7.5 はこの寸法を exclusive of carpets, rugs or runners、つまりカーペットや敷物を除いて測ります。カーペットは影響しません。仕上げの床材は影響します。側桁を下地の床から下地の床で刻むと、誤差は誰も調整しない二段に集まります。上の階に3/4インチのフローリングを張れば一番上の蹴上げが3/4インチ高くなり、下の階に同じ床を張れば一番下の蹴上げから3/4インチ減ります。どちらか一方だけで許容差の2倍、両方なら差は1-1/2インチで上限の4倍です。原因は床材一枚の厚みです。高さは仕上げ面から仕上げ面で測り、それから割ってください。
例外そのものが地域で書き換えられます。ボルチモアは IBC を採用していますが、例外3を蹴上げ8-1/4インチ、踏面9インチに書き換えています (Building, Fire and Related Codes, 2024 edition, §1011)。どちらのモデルコードよりも緩い値です。採用されている版と地域の改正を確かめてから側桁を刻んでください。
住宅の階段は、アメリカの住宅規準よりずっと急にできます。 第23条のただし書は、共同住宅の共用階段を除く住宅の階段を蹴上げ 23 cm 以下、踏面 15 cm 以上としてよいとしています。両方を限度いっぱいに取ると勾配は約 57°。上の計算機が使う IRC R311.7 の限度、蹴上げ 196.85 mm と踏面 254 mm では約 38° です。表の(四)、蹴上げ 22 cm と踏面 21 cm でも約 46°。だから上の判定で「通らない」と出ても、日本の住宅では適法なことがあります。学校の階段のように日本の値のほうが厳しい種別もあるので、判定は表の行で確かめてください。
寸法のほかに、踊場と手すりの条文があります。 第24条は、表の(一)(二)の階段は高さ 3 m 以内ごと、その他は 4 m 以内ごとに踊場を求め、直階段の踊場の踏幅を 1.2 m 以上とします。第25条は階段に手すりを、手すりのない側には側壁かそれに代わるものを求め、幅 3 m を超える階段には中間の手すりを求めます(蹴上げ 15 cm 以下かつ踏面 30 cm以上なら不要)。どれも高さ 1 m 以下の部分には適用されません。第23条第4項は、国土交通大臣が定めた構造方法の階段にこの表を適用しないとしています。このページは条文を引用しているだけで、適合の判断はしません。地域の条例と設計図書も確かめてください。
規準の値は二つの条から取っています。IBC 1011.5 は蹴上げ7インチ (177.8 mm) 以下、踏面11インチ (279.4 mm) 以上。 IRC R311.7 は蹴上げ7-3/4インチ (196.85 mm) 以下、踏面10インチ (254 mm) 以上。一つの階段の中での蹴上げの差は 3/8インチまでです (IBC 1011.5.4 / IRC R311.7.5.1)。三つともアメリカの規準で、州や市が改正して採用するので、 採用されている版は地元の建築当局に確認してください。日本の階段は建築基準法と施行令、そして設計図書に従います。 施行令第23条から第25条の該当部分はこのページの表と注に引用しましたが、上の判定はアメリカの規準のままです。ここで保証できるのは幾何だけです。これは設計の補助で、適合の証明ではありません。
計算例
床仕上げ面から床仕上げ面まで2700 mm、踏面280 mm、蹴上げは180 mmにしたい。何段になり、この階段は通りますか。
- 2700 ÷ 180 = 15 でちょうど割り切れます。蹴上げは15段で各180 mm、踏面は蹴上げより一つ少ない14枚(14段)です。
- IBC 1011.5.2 は蹴上げの上限を7インチ = 177.8 mmとしているので、180 mmは通りません。ページは赤で示し、蹴上げが少なくとも16段必要だと出します。2700 ÷ 16 = 168.75、つまり169 mmずつです。
- 水平投影長さ = 14 × 280 = 3920 mm。側桁 = √(2700² + 3920²) = √22656400 = 4760 mm。角度は arctan(2700 ÷ 3920) = 34.6°。2R + T = 2 × 180 + 280 = 640 mmで、610–635 mmの範囲の外です。
蹴上げ15段で180 mmずつ、踏面14、水平投影長さ3920 mmです。米国の住宅以外の規準 IBC では、この180 mmは上限より2.2 mm高く通りません。米国の住宅の規準 IRC は上限196.85 mmなので通ります。日本の施行令第23条では住宅の階段が蹴上げ 23 cm 以下・踏面 15 cm 以上、一般の階段が 22 cm 以下・21 cm 以上なので、この 180 mm と 280 mm はどちらにも収まります(このページの表、判定はしていません)。保証できるのは幾何だけで、適合かどうかはその建物に適用される法令と設計図書で決まります。
このページの 8 個の計算値は2026年10月29日に実際のブラウザで実行し、別に算出した期待値と一つずつ突き合わせています(サイト全体で 2,808 値、228 個の計算機)。
よくある質問
蹴上げの上限は何 mmですか。
米国の IBC 1011.5.2 ではたいていの住宅以外の階段で7インチ、177.8 mmです。IRC R311.7 の住宅では7-3/4インチ、196.85 mm。二つの規準は一致せず、このページは選んだほうで判定します。日本の階段の値は建築基準法施行令第23条にあり、このページの表に載せていますが、判定には使っていません。日本の階段にはそちらと設計図書が適用されます。
階高2700 mmなら何段必要ですか。
蹴上げ15段なら180 mmずつで、IBC では上限177.8 mmを超えて通りません。16段なら168.75 mmずつで通ります。上限196.85 mmの IRC なら15段でも通ります。踏面の数はいつも蹴上げより一つ少なく、14か15です。
日本の住宅の階段の蹴上げと踏面は何 cm までですか?
建築基準法施行令第23条のただし書で、共同住宅の共用階段を除く住宅の階段は蹴上げ 23 cm 以下、踏面 15 cm 以上とできます。それ以外の一般の階段(表の(四))は幅 75 cm 以上、蹴上げ 22 cm 以下、踏面 21 cm 以上です。このページの計算機はアメリカの規準で判定しているので、日本での適否はこの表で確かめてください。
回り階段の踏面はどこで測りますか?
踏面の狭い方の端から 30 cm の位置で測ります(施行令第23条第2項)。内側の端ではなく、そこから 30 cm 外に出た線での奥行きが踏面の寸法です。